ダンケルク:『ダンケルクは戦争映画ではない』
最初しばらく台詞が殆どなくて、状況説明はこちらがゆっくり掴んでく感じ。
それでも映像が圧倒的に美しくて、その視界の広さと情報量の多さ、贅沢さに痺れて全くダレない。
そうこうしてる間に色んな時間軸で3つの物語が進む。
それらは段々交錯していって、後半に連れて収束していく。
そして、最後のシーンによって全ての伏線が回収されて、この映画のテーマが明かされた(自分なりに理解した)。
本当にこれが最後の最後すぎて、エンドロールで何も見えない状態で泣かされた。
ダンケルクのレビューはsouthpumpkinさんが素晴らしい記事を書いている。
ダンケルクの解釈は人によってかなり違うみたいで面白い。
【以下ネタバレ含む】
この映画の面白いところは
- 「敵」は一切姿を見せないこと
- こちらは一切人を攻撃しないこと
の2点だった。
これは「敵=観者の逆境の元」「主人公=ヒーローになれない観者」である。
戦争で誰かを殺してヒーロー扱いされれば、それはただの成功物語になってしまう。
ここで出て来る兵士達は誰も一見称えられるような素晴らしい人生には見えないのだ。
この演出が最後のノーランのメッセージを熱くする。
「君は必死に生きてる。卑下なんてするな、十分に称賛されるに値する人生だ」
それが戦争映画を通じて、こんなダイレクトに、ダイナミックに、そして主観的に伝わってくるのはさすがノーラン。
クリストファー・ノーランは「『ダンケルク』は戦争映画ではない」と述べている。
らしいが、たしかにそうだ。
クールに温めてくれる、ノーランらしさ。
とても大事にしたいと思える映画だった。