のび太の宇宙小戦争:来週の日曜ピリカ星に遊びに行こうよ
1985年公開の名作。
最近ではTHE ドラえもん展 TOKYO 2017で坂本友由さんが「僕らはいつごろ大人になるんだろう」とうタイトルで本作とコラボした作品を展示した。
宇宙小戦争の名シーンをなまめかしく表現したこの作品は,藤子先生がこのときに描きたかった女性を現代的に噛み砕いて表現しているようにも思える。
まあそのへんも後ほど。
2018年は9月27日(木) ~ 11月18日(日)まで名古屋で開催されるそうなのでまだ行ってない方は是非に。
さて,本作は自分には古いというより,文化の違いが感じられて寧ろ新しく感じた。
淡々としたテンポ,丁寧な描写。
ドラえもんの歴史が作られていく過程真っ只中,という,少しずつキャラ設定に挑戦を加える姿勢。
何気ないツッコミの台詞にさえ,こうやって今のドラえもんが作られてきたんだという言葉の重みがある。
久々に新ドラえもんを観たけど,「自分のホームはやっぱりここだなぁ」という落ち着くきと幸せを感じた。
物語自体はとても緻密で,藤子先生の圧倒的スケールの大きさを感じた。
彼の脳内を1.5時間に収めるのめちゃめちゃ大変でしょ……って思うけど美しく収めてる。
最後の〆の台詞が「来週の日曜ピリカ星に遊びに行こうよ」っていう,サイコーに美しすぎるSF発言だからね。
坂本友由さんの作品で扱われたのは,この映画の最後でしずかちゃんが巨大化するシーンだ。
これは藤子先生の描く女性像が表現された特別なシーン。
この巨大化シーンで女性のたくましさ,繊細さがテーマとして全面に押し出され収束されていた。
昭和のエロティシズムはよく分からないけど,自分には懐かしい女性像に感じられた。
今この映画を作ったら,
- 宇宙船に乗る前に宇宙クリームを塗らないといけない,とか
- ピリカ星に行く手段としてどこでもドアが選べない,とか
設定をもっと詰めて表現しないといけなさそうで,窮屈にも感じそうだ。
それも映画の完成度を高めるのには大事なことなんだけど,脳内補完していくのも趣あるよね。
この映画がいつかリメイクされた時、女性の描き方や設定の厳密さなど検討しなければいけないことが沢山あると思う。
もしかしたら,大きく脚本が変わるかもしれない。
きっとこの物語は,1985年に公開された本作でこそ完璧に表現できているのだ(主題歌の「少年期」(武田鉄矢)然り)。
この名作を現代でリメイクするのはある意味では不可能なのかもしれない。