キャロル:決断は不安定さを伴う
高貴なキャロル(ケイト・ブランシェット)と純真なテレーズ(ルーニーマーラ)の恋愛物語で、テレーズ視点を中心に物語は進む。
ルーニーマーラ綺麗……。
他の出演作も観たくなった。
さて物語は50'sのNYを舞台にしていて、とてもオシャレ。
色使いが素敵で、静かに進む物語を芸術作品のように彩る。
テレーズは苦しい状況下でも自分を捨てずに戦おうとするキャロルに惹かれ、キャロルは純真で素直なテレーズに惹かれる。
まだ同性愛への理解が弱かった時代であるために起こる困難を、乗り越えるたくましさを二人で築きあげる。
強くなるということは弱くなくなるということでない。
そんな弱さが強さとして変わっていく姿が、またその逆が、良かった。
テレーズの決断力の無さ、意志力の弱さに自分を重ねながら観ていた。
何かを決断するということは、その何かという事象に対して気持ちの変化を与えるということ。
その事象に対する気持ちを可変にするということ。
つまり決断はその後にもまた心変わりすることを直接的に示唆する。
だから決断は恒久的にはなり得なくて、その不安定さが自分を優柔不断にさせるんだと思った。
そんな屁理屈を通したい気持ちもあるけど、別の観点で言えば決断は気持ちの次元変換行為でもある。
もやもやしたカオスから秩序だった形に整理するという行為。
なので決断はやっぱり意義がある……。
テレーズはキャロルと出会って強くなり、最後は自分の意志で動く。
いつまでもうじうじしていてはいけないわけだ。