のび太の南極カチコチ大冒険:「これはドラ映画じゃない」のか
ストーリーが難解で人物描写の薄かった本作は,「こんなのドラえもんじゃない」なんてYahoo!映画レビューでよく書かれてた。
しかしこう言われたってことは,この映画はドラえもん映画界にブレークスルーを起こしたってことだと思う。
本作は物語のスケールが過去最大なんじゃない?ってくらい大きかった。
ドラ映画では叶わないだろうけど,3部作くらいで作って欲しい。
バックグラウンドが壮大なタイプのSFで,監督自身がワクワクしながら作ったのが伝わる。
魔界大冒険のような大人っぽさを更にオタクこじらせて雄々しく描いてった感じかな。
本作は今までのドラえもんにとらわれないぞ,という意気込みを各所で感じた。
- 雑草が処理されていない空き地
- マイナー(もしくはオリジナル?)なひみつ道具
- オープニング中もストーリー進行する演出
- etc……
それでもドラファンを喜ばす小ネタも(序盤は特に)多かったのは嬉しかった。
さらにこの映画のすごいのは
- 悪役がいない
- 南極以外の場所にいるシーンが(体感)5分くらいしかない
あたり。
オープニング始まる頃には既に南極来てるからね。
そんな物語設計の中でものすごい密度で話が進んでいった。
ただこんな素晴らしい映画が一部の視聴者に受け入れられなかったのは,ちょっと詰め込みすぎな印象があったからだろう。
途中の冒険シーンは省くし,人物達の心理描写は皆無に近い。
まあのび太とドラえもんの友情はアピールするし男友達のワイワイ感も良くて,押さえるところは押さえようという努力はあったけど,ぎゅうぎゅう感は否めない。
つまり,みんなドラ映画では毎年必ず「友情愛」「家族愛」をテーマ性持って見せないといけないって思ってるんだろう。
ここさえ寛容になれれば良い映画なんだけどなぁ。
小学生が大人も必死についていくレベルの冒険するのすげえじゃん。
それだって十分ドラえもんが担うべきテーマの一つになって良いと思うよ。
「STAND BY ME ドラえもん」以降,ドラ映画のターゲットは子ども中心じゃなくて大人の比重も上がったんだから*1。