ヴェノム:アメコミ映画を引っ提げるのはトム・ハーディか
SPE ( Sony Pictures Entertainment ) がスパイダーマンの映画化権をMCU ( Marvel Cinematic Universe ) と共有してから,ヴェノムの世界線にスパイダーマンがどう絡んでくるのかは誰もが気になってたところ。
インタビューとか調べれば色々情報は出てるけど,今作を観ただけでもその疑問には答えが示されていた。
しかもキモはそれだけじゃない。
SPEの世界観は顕在してたんだ。
記者のトム・ハーディに,エレベーターのボタンを押すトム・ハーディに,トビー・マグワイアを重ねて観てたのは俺だけか?
SPEは,世界中の人々にとってスパイダーマン映画の親だ。
あの頃のスパイディを未だに忘れられない人はきっと多い。
その点,SPEもトム・ハーディも,SPEの雰囲気を残しつつ新規性を打ち出すサイコーの仕事をしてくれた。
ヴェノムのデザインがスパイディからかけ離れてるって?
SPEの本気,マジでアツいからみんな映画館行ってくれ。
SPEはトムホのスパイディに寄せていくつもりはないことが,この映画では示された。
最初の宇宙船が墜落した後のシーンの画からMCUとの完全な差別化が図られる。
トランスフォーマーっぽさも感じるような泥臭さに,この映画ではトムホが出ないことを暗示させる。
実際,エディブロックが記者である設定は受け継ぎつつも,スパイダーマンは一切匂わせない。
そして,その後の画はもっとすごい。
四股の概念無視の意味分からん触手アクション。
MCUではアントマン以外なかなか見せてくれなかった,アツいカーアクション。
画角も目新しくて,ダサくなりそうなとこギリギリを攻める。
でも観てるこっちはそんなとこにヒヤヒヤしないよ。
だってアクションシーンが現れる頃にはエディブロックもヴェノム(シンビオート)も大好きになってるから。
このリーディングも上手くて,ヴェノムには思ったより毒々しさが無く,ヴェノムもエディも自分の正義がハッキリしててまっすぐ進むのだ。
その上,世界観は奥行きが出ててバッチリ引き込ませてくる。
アメスパのように無理矢理詰め込んだりしてないの,偉い。
見終わる頃には早く次作が観たくて仕方なくなってた。
本作は描き方からして,こっちがMCU意識して観ちゃってるのもあるんだけど,DCやX-MENより強くMCUに真っ向から勝負してるように見えた。
AVENGERS 4でMCUの勢いに一区切りがつきそうな今,ヴェノム,スパイダーマンスパイダーバースと一気に食いついてきたSPE。
このままSPEのスパイディをリビルドして,アメコミ映画を引っ提げていってくれ。